ここを管理していた人の部屋を覗いてみる。
ここは地下にあり、光という光はほとんど入らない。
暗くジメジメした部屋は高温多湿で壁には水滴が滴っている。
地下というと涼しいイメージがあるがここは全くの例外だった。
暑い上にジメジメしている。このファイルもグニョグニョになり
めくりあげると、だらりと力なく破れそうになる。
その湿気はダンボールや壁が物語っているが環境が悪すぎる所為か虫一匹いない。
やはり原色系は少しの恐怖を覚える。
青いカビの空間にはカビをも寄せ付けない素材の鮮やかな不気味な合羽が映えている。
メローイエローカップ。プラスチックの素材のカップは洗面所によく似合う。
この辺りの時代の瓶のコーラは徐々に姿を消し始めていた頃であるが
観光地では意外と根強く残っていたものである。
この様な保存の仕方でもCDは音質を衰えさせる事無く聴けるのだろうか?
カセットテープではそれは無理だろう。このカセットを使っていた頃、メタルだのAだのBだの
こだわっていた。そんな頃を懐かしみながら松田聖子のカセットテープで今回のレポを〆てみる。
どうしてこんな場所に廃墟が?というよりこんな場所だから廃墟か、と妙に納得した。ここにこんな山荘があった事を覚えている地元の人ももういないのではないかと思う。暑い時期の廃墟は色々と障害が多い。藪に臭いにカビに虫。しかしだからこそ廃墟の意味や本質を更に知る事ができるのではないかと思う。日常生活ではあまり出来ない体験をしに廃墟に行く人達がいる。廃墟趣味というものはある意味現実逃避かもしれない。そして廃墟が好きじゃなければこんな過酷な場所にもいかないであろう。
暑いのに、ではなく暑いからこその夏の廃墟探索。ホコリとカビにまみれて、そしてそこを好んでしまうのは一歩間違えばキチガイかもしれない。いや、私は既にキチガイだな・・・
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