山を一旦登り、廃バスがある所で山を下る。
開けた場所では直射日光が体を突き刺す様だ。
木の幹や、草にしがみつきながら、急斜面の藪を越える。
見えた。
コンクリートで固められた箱型の施設。
ガラスは割れてはいないが、ドアが壊れている。
1階は物置になっており、大して目を引くものは見当たらなかった。
乱雑に机やロッカーは置かれていたが原型を留めており、
ホコリのつもり具合が長い時間の経過を表している。
これだ、コレが見たかった。
堂々とした威圧的な龍。
今にも動き出しそうな躍動的。
そして、この龍の裏にも襖絵が描かれている。
「七転八起」
廃墟にこの文字は皮肉なものだ。
ここは、二度と再建できないほど廃れてしまっている。
しかしこんな皮肉なシチュエーションは、廃墟の魅力の1つかもしれない。
この施設でまだ見たいものはあったが、あらかた目的は達成された。
予定を考慮し下山する事になったが、当然登山ルートを引き返す事になる。
途中、迷いそうになりながらもなんとか入ってきた場所に到着。
スズメ蜂が現れた事もあった。 巨大ムカデも現れた。 漆の藪も越えた。しかし、無事に出てこれてこの廃墟を振り返ると、大変だったが素晴らしく充実した時間を過ごしたと実感した。 目的は廃墟。 しかし、そこへ到達し無事に出てくる事も探索の面白さである。 廃墟内も楽しいが、その行程も楽しい。辛ければ辛いほど、後で振り返った時に残るものは大きい。人生もまた同じ。……と、人生論を語るのはまた機会に……(笑)
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