そしてその廃保養所は大企業の名前を多く連ねる。
福利厚生の中でも、それほど重要視されていない保養所はすぐに切り捨てられる。
この保養所も、現在は会社統合により名前を変えてしまった大企業の保養所であった。
13年間、この空間の空気は換気される事なく陰湿な森の中に潜んでいる。
観光地であるには変わらないが、観光中心スポットからかなり離れていて
交通の便があまりよろしくない。お世辞にも良い場所とは言えない。
保養所が閉鎖されると、日帰り温泉や旅館に転用される事がよくあるが
それすらも利用客が見込めない環境である。
マンションや開発分譲としての利用も見込めない。
駅から徒歩15分以内にあるものの、なぜ集客できないのか。
それは、人間が本能的に感じる陰湿な空気を強く感じる場所だからではないか。
晴れた昼間でも暗く、ここへ来るまでの道路の側溝には落ち葉が溜まり、
乾燥した日でも、肌にまとわりつくような湿気。
年中日当たり悪い所には、いくら利用料金が安くても近づきにくいものだ。
今回は少々短いレポでした。カビの臭いはきつく、畳や床も見た目以上に腐食している。外観からは少しわかりにくいが、結構奥行きのある建物。しかし、どの部屋も日当たりが悪く、とても保養どころではない。観光地の中継地点としては利用できない事もないが、それでもこんな場所には留まっていたくない施設だと感じてしまった。そんな陰湿廃墟だ。
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