この廃墟でのファーストコンタクトはこのコウモリだった。
あまり驚きもせず真下でカメラのフラッシュをつけてもただただそこで揺れているだけだった。
フロントは宿泊系廃墟のごくありふれた印象があったが、なんせここはカビの臭いがキツイ。
カメラを持っている手がプルプルと震えたカビ臭。こんな廃墟久しぶりと妙にテンションが上がった。
残留物がそこそこあると思い見てみると、この年代もののラジオ。
そしてお約束のカレンダーは1987年。20年前のカレンダー。
この建物の全てのカレンダーは同じ年の同じ月で止まっていた。
ほぼ換気されていないこの建物の中の空気は20年前の空気と言っていい。
風を通さない建物は内部から腐敗し、カビという新しい菌を生み出す。
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