R マンション
一時は、レジャーの多様化により人離れを起こしていたが、昭和の代表的な観光地に人が戻りはじめている。
ネットなどの普及により、昔の温泉地や遊園地が数多く取り扱わられ、流行に飽きた人達が「古き良きもの」を求めている。
しかし、人がどれだけ戻ってきても、昔ほどの勢いはなく、今尚廃れた場所が観光地には確実に存在する。

舗装されてない道を進んでいく。
周りの景色は山しかなくなり、人の声も車の音もなくなった。
しばらくすると、屋上とその下の階が、木々の向こうに見え隠れしている。
近づくと、コンクリート一色の、見方によってはモダンとも言えるマンションがその姿を現した。
投石により割れた窓ガラスから見える部屋は、内装には全く手がつけられておらず、
崩れた資材に破れたブルーシートが被せてあり、建築途中で放置された建物という事を明らかにした。そもそも、ここへ来る道は、草も伸びきっており、人の歩く道などないも同然だった。

傾斜地に建っている為、近づいた場所は最上階と同じ高さであったので、コンクリートの外壁に設けられた階段を下りていく。
四方をコンクリートに囲まれて、多少の圧迫感がする。
1階と同じ高さまで下りてきたが、建物の全体像は見ることができない。
複雑な造りをしているので、外周を歩いてみた。

このマンションは、横に相当長い事がよくわかった。
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