S ハウス
人の往来や車の往来がなくなってしばらく経つ。いつしか道は舗装路から砂利道になっていた。車を途中に止め、歩き始めると道が二股に分かれている。さて、どっちだったか。しばし悩んで思いの方向に進み始める。雨が強くなってきた。本当にあっているのだろうか?不安を感じながら進んでいると、木々の隙間からその建物が見えた。木の多さで建物の構造がわかりにくいが、どうやら目指していたペンションで間違いない様だ。
1階の廊下は崩壊していて足の踏み場がないが、それよりも不法投棄と思えるゴミの山が更に進みにくくしている。1階全フロアーは完全にゴミに埋め尽くされており、廃墟としての魅力は皆無になっている。タイヤ、冷蔵庫、洋服などなど。一体日本はどうなっているのだろうと、こんな山奥の廃墟で日本の履き違えた豊かさを目の当たりにした。
今にも崩れそうな階段を上がると食堂がある。しかし床は水分を多量に含み、黒ずんでいる。良く見ると、階下に向けて大穴が開いており、腐食により崩壊したとみられる。食堂に入るのは危険と判断し、廊下から中を覗き込むと、コケの生えた床にストーブが一つ置いてあるだけだった。
この廃墟の階段を上がって行くと、外から想像できない大きさという事がわかる。奥に廊下が伸びており、部屋数も多い。ちょっとした旅館やホテルよりも大きい。ただ残念なのは、ホテルや旅館にありがちな同型の部屋がいくつも並んでいることだ。
人為的破壊とは違う壊れ方だがここまで荒廃するのか
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